涙雨のインプラント

予約していた10時に、歯科クリニックに入った。
前兆はグアムに行く前から出ていたので、覚悟はしていた。歯茎が痛かったので、レーザーで焼いて胡麻化していたが、帰国してさらに痛み出したので、レントゲン写真を撮ってもらう。
医師は、痛む場所の被せを外し、さらにデジカメで写真を撮った。
「根が折れて、歯も割れています。抜歯して入れ歯か、ブリッジにしないとだめですね」
入れ歯は論外として、ブリッジは隣の健康な歯も削らないといけない。治療が終わっても、沁みるリスクも残っている。インプラントが、頭をかすった。
「インプラントは、埋め込んだボルトが、周囲の肉と馴染むまで時間がかかるので、二か月以上かかります。それに保険がききません。どちらにも一長一短があるが…」
医師の言葉に一瞬悩んだが、インプラントでお願いした。


そして昨日、手術。麻酔後、割れた歯を抜く。ドリルで顎の骨に穴をあけ、ボルトを押し込み、切開した歯茎を縫った。時間にして約一時間。実際に見ていないので、この通りかどうか定かではない。


ドリル使用の時、一瞬激痛があったので、医師も再確認のため、レントゲン室へ。結果、ボルトは神経の上3mm以上の所で止まり、安定していた。その後日にちをあけ消毒、抜糸。歯の構築へと進むらしい。
「出血は続くが、ウガイは頻繁にしないで、歯磨きは軽く。今日はアルコールは飲まないように」
一通りの注意事項を聞き、会計へ。


前回、予算は聞いていたので、請求書通り全額支払う。
金額は、(KONA PROCESS134)と同じだった。


私は次のバイクに、KONAも候補に挙げているので、歯一本がKONA一台分なのに、何か複雑な気持ちになる。涙…。


出血も続いたので、昼食の代わりに、冷蔵庫で眠っていた古いバナナを三本食す。


外は今にもパラパラ来そうだった。「激しい運動はしないように」と、歯科衛生士に言われていたので、仕方なく近場の大和川トレイルへ。
途中で雨が降ってきたが、構わず河原に降りる。

一周200m程のオーバルコースを10回走る。

無人の少年野球場の草むらを、立ち漕ぎを交え走ってみた。

小雨は止まず、ヘルメットを通し水滴が侵入、シャツは可なり湿気てきた。口の中が気持ち悪く、唾を吐くと濃ゆい血が固まって出た。
切り上げ時と思い、帰宅すると汚れたバイクを洗車、入浴し腹が減ったので、ワカメと豚のシャブシャブで夕食。
禁じられていたが、我慢できず発泡酒を一缶空ける。
夜中相当痛むかと思い、痛み止めは用意していたが、それも出なかったので、感染予防の抗生物質を一錠飲んで寝た。


それにしても、バイク一台…。


アクション映画が、三度の飯より好きな、アくしょん大魔王のコレクション棚から紹介する、今日の一本。


「刑事ジョン・ブック  目撃者」


(「キネマ旬報社」データベースより)
ハリソン・フォード主演によるサスペンスドラマ。戒律を重んじ前近代的な生活を営むアーミッシュ=アンマン派教徒の親子が殺人事件に遭遇。ブック刑事は彼らを守るため村に潜伏するが…。“

泣くな、ブック刑事。たかが女ぐらいで泣くな…
歯一本と、バイク一台の重さに泣け!