弔いポタ

 訃報を聞いたのは、早めの昼食を済ませテレビの前に座った時だった。テロップが流れ、
34の数字が先に目に入った。
ガンで闘病中の彼女が逝った
 どんな種類のガンでも、医者に宣告された瞬間、患者は死を連想する。
 私が前立腺がんと、ドクターに言われた時、

「人生、早仕舞いか」ま、それもイイかと変に納得した。
しかし、この若さで、二人の幼子を残しての旅立ち、思い残すことは多すぎて、それを想う部外者の私の鼻の奥も、ツーンとしたまま。
 このまま事務所に居ても、テレビやネットで情報が流れてくる。
それならとバイクに跨る。大和川右岸を走りながら、野花を摘み取り、バイクに飾ってみるが、柄にもないのか西風で吹き飛ばされた。
大和川堤防を走りながら考える。

 同じピンクの着物を着ても、清楚で美しい母もいれば、部下に暴言を投げかけ、挙句は何度も暴力を繰り返す女性議員。頭が良く超エリートと呼ばれても、やることは昔の飯場オヤジそのもの。
こんな女性はエリートでも何でもない。
ピンクモンスターが言い得て妙。

 堤防を走っていたら、喉が渇いてきた。ちょうどテニスコートの下に来たので、寄って自販機に近づいた。喉を潤し、コートを見た。いつもは賑わう場所も誰一人いない。
私の心も、ぽっかり穴が開いたまま。

ヒラリー・クリントンは選挙に敗れた後、
落胆した支持者に向かって「最も高いところにあり、最も硬いガラスの天井を破ることができなかった」と言った。


 しかし34歳の彼女は、女性特有の難病患者に向かって、
ブログで勇気づけたのは間違いない


 彼女は乳がんと公言できない患者に、
「最も高いところにあり、最も硬いガラスの天井を破ることができた」のだ。


昨日、人生で最も泣いた男へアくしょん大魔王が贈る唄


「Dire Straits: On the Night」

マーク・ノップラーがコンサートで必ず歌う
「ロミオとジュリエット」