志は同じ

 蒸し暑い日曜日、日課の堺浜ラン。水分補給で、展望台のベンチに座っていると、一人のローディが走りこんで来た。
「足が攣ってね」
そう言いながら脚を、柵に預けストレッチを始めた。終わったのを見届け、私はベンチを勧めた。
「ここ涼しいですよ」

雲は厚く、その分気温も30度を超えていた。
攣ったという脚は太く逞しい。太腿は最上級のボンレスハムより、はち切れている。
「陸上の短距離をやってましてね」
彼はスポーツ歴を語り始めた。息子さんが野球をやっていたが、手がかからなくなったので、減量のためにバイクを始めたらしい。太腿と同じように、腹部もかなり肉付きが良い。
「バイクで体重を落とし、陸上短距離を走って、ワールドマスターズに出てみようかと、いや欲を言えば二つに出てみたいです」
オオッ、と私は心の中で、のけぞった。
やっと私の目の前に、四年後の関西ワールドマスターズを目指す人が現れた。
マスターズは五歳刻みで、グループが組まれる。だからそのグループの低年齢でいる方が、良いと云えば良い。
「その時は、52歳です」
と言うことは、今はまだ50前。その頃の私はゴルフに狂い、年間100ラウンドはこなし、出来るものならプロテストを受けたいと、柄にもなく思ったものだ。
「私もマウンテンバイクで、出ようかと…」
私の言葉に、彼は柵に立てかけたスコット(SPARK 740 - 27.5" PLUS)を睨んだ。
「マウンテンバイクのレースは、見るものであって、乗るものではありませんね」
彼の言葉には、含蓄があった。身体的ダメージや、激しい走りを考えたのは確か。
「特に下りの走りは、想像するだけで走る気にはなれません」
「ま、私も減量が目的で、出るかどうかは…」
ネガティブなトーンで会話が続かない。
ここで切り返してもいいのだが、彼の体重は82kg、私は88kg。
お友達になれそうなので、体重に免じて、許してやった。
堺市より南の和泉市から走って来たらしい。時々会うことを約束して、分かれた。彼のロードバイクはスイスブランドの、BMCだった。年齢が二回り以上離れているとは言わなかったが、次に会えば当然話題になるだろう。
「それでも走れますか?」
と彼が訊けば、
「生きていれば」とでも応えてみようか…。


映画が、三度の飯より好きな、アくしょん大魔王
のコレクション棚から紹介する、今日の一本。


「イングロリアス・バスターズ」


(「キネマ旬報社」データベースより)
 クエンティン・タランティーノ監督がナチス壊滅を企てる部隊の活躍を描いた痛快アクション。イングロリアス・バスターズは、とある映画館をターゲットに定める


タラさんの映画は一筋縄ではいかない。
またそこが面白いから、ファンになるわけで、日本好きのタラさんに、真珠湾攻撃の前後を撮らしたらどんな映画になるだろう。
マイケル・ベイとは違ったモノになるのは確か。
ちなみにアカデミー賞助演男優賞を取ったのは、ブラピーでなく、ドイツ軍大佐を演じたクリストフ・ヴァルツ
面白いです!  観ていない人は、ツタヤへ走りましょう。