トキメキ

 連日35度以上の中を走る。展望台で給水タイム。暑さで空気もよどみ、湿度と汗でシャツもヘルメットもジュクジュク。

 わずかに海風が、クールダウンに役立ってくれる。ベンチに座り、前日の事を思い出す。
 その人には、堤防の上で時々すれ違っていた。ウォーキング姿は、ボトムが黒のくるぶしまでのパンツとスニーカー。
 上着は膝までのグレーのワンピ、白の長手袋、首には日焼けを防ぐ夏物のマフラー。黒のつばひろの帽子、濃い黒のサングラスに小さめの日傘。この格好は、いつも変わらない。つまり顔の一部しか窺えない。
その日、私は右岸を走り、浚渫工事の写真を撮り、阪堺大橋に差し掛かり、彼女とすれ違った左岸に渡り、間近で重機の写真を撮った。そして堤防を走りだした。すると直線500mほど先に、大和川大橋を渡った彼女が現れた。
 この暑さの中、バイクでもしんどいのに、ウォーキングには一番厳しい時間帯。差が詰まりだしたので、私は決心した。
直前でバイクを降り、話しかけた。
「奥さん、いつも元気ですね?」
相手は無視して、通り過ぎようとした。
「いつもどれくらい歩いています?」
初めて彼女が振り向き、ニコッとして応えた。
「6000、でも暑いから時々端折っています」
「すごい! 」
六千歩か、六千メートルか、あえて聞かなかった。
「頑張ってください」
「有難うございます」
再びニコッとして、歩き始めた。
私もバイクに跨った。彼女は右岸と左岸を一周してきたのに、汗は掻いていなかった。誰かに似ていた。
そや、お志麻姐さんにそっくりや


そんなことを思い出し、Jグリーンでドリンクを買った。

 ここの自販機は、少々高い。一番安い水でも120円。高校生以下は、プリペイドカードでも買わせ、半値程度で提供したらどうだろう。


夕食後は、お約束事の極妻を再生した。
いい方の男

相変わらずエロい男

悪い方の男

見るからに悪い女

惚れたら地獄や 今夜もイタイで

完全にワンパターンになってきた。
良い子たちは、早く寝ましょう。