東京パラの最強戦士

 タオルに包んだ、ガチガチに凍ったペットボトルをリュクに入れ、堺浜の中間点まで漕いできた。予報は36度だったから、舗装の照り返しは40度近い。ここでボトルを取り出し、ホルダーに突っ込んだ。これで復路は喉の渇きを癒されそうだ。

私はアクション映画が好きなので、このドキュメントはどうしても観たくて録画していた。
このインドの若きシューターは右手が麻痺、父親が左手用の銃を買ってくれた。それからめきめきと腕を上げる。

映画の中のヒットマンは、相手の隙を窺い、弾を撃ち込む。
しかし競技では、自分の心の隙を無くし、相手も気にせずトリガーを引く。このドキュメンタリーを観て、分かったのはここまで。
私も銃が撃ちたくて、四十代には銃のライセンスを取り、競技に出る夢を持ったこともある。
しかし手近なゴルフを始め、ハマってしまう。シューティングレンジで打つ五番アイアンは、180ヤード先に立つ人と、キャッチボールが出来るほど正確になった。
ある時、背後に立つ数人の見知らぬ人が、私の打球を見続け「まるでショットガンを撃っているようだ」と呟き去って行った。
その時から、私は銃を持つ関心がなくなった。