メーデーメーデー

 私の家族にも、春から旅立つ二人の孫娘がいる。
その内の一人が、東京から戻って来たので、お彼岸過ぎたが墓参りへ連れて行くことにした。同じ志の人たちばかりではないだろうが、西紀SAはいつもと変わらぬ混雑。
観光バスもかなりの数。私の車はトラックのパーキングエリアに駐車した。

場所は京都府の綾部市。地元のスーパーで、弁当を買い、車を置かせてもらって、お墓のある峠の中腹まで20分ほど歩く。
しかしまだこの時、復路でトンデモナイ事になるとは、知る由もなかった。

お墓の清掃を済ませ、ピクニック気分で弁当を食べる。

綾部市は、アパレルのグンゼ発祥の地。今でも本店はここに所在し、子供の頃の高級品は、ほとんどグンゼ品だった記憶がある。

墓参りも済ませ、舞鶴若狭自動車道に入ったのは午後二時ごろ。複々線工事も完成し、二車線の高速道は気持ち良く走れる。
復路はSAも寄らずに、吹田まで順調な走りで、近畿自動車道へ移る。南茨木を通過したところで、右側から黒煙が上がっていた。それも勢いが強い。火事や! 私は思わず叫ぶ。他の車も気付いたように速度を落とす。
しかし黒煙は勢いを増し、高速道の中まで流れ込み、臭いと共に視界が悪くなってきた。前方でブレーキランプが光り始める。車は徐行で通過、火事だとはっきり確認。摂津市辺りか、とにかく現場から離れることに集中する。
混雑から抜け出した車の群れが、一斉にアクセルを踏んだようだ。
群れの中で、私は車を八尾IC方向へ向け、左車線へ変更、かなりのスピードを出していた。
突然、ガランと音、続いて爆発音、次にゴロゴロの感触が足に伝わってきた。
パンクや、私は呟いた。
急ブレーキをかけず、ウインカーで合図しながら後方確認、ハンドルを徐々に左へ切り、スピードを殺し路肩に停車した。窓から見るとパンクは左前。
幸いなことにこの辺りの近畿自動車道は、片側三車線で、路肩も広いハザードランプを点灯、家人と孫娘を後方へ避難させ、JAFに連絡。まもなくNEXCO西日本の巡視車が赤色灯を点滅して到着。
三角コーンを並べ、安全を確保。ほとんど同時に到着したJAFのスタッフが、スペアタイヤと交換してくれた。
しかし高速道でのパンクは、文字通りバースト、タイヤは中身まで切れ、ベルトの生地までむき出しになり、衝撃の大きさを思い知らされる。
NEXCOの車が到着し、JAFの作業が終わるまで30分程度。この時間の長短より、人心事故は最初の5分でも起こりうる。
いろんなことを学習した一日だった。