人の旬とは ?

 ランチの後、堺浜へ漕ぎだす。風を受けるので、歩くよりましだ。25kmの行程で引き上げる。

午前の部のエビアン選手権を観ていたが、日本選手がまだなので、録画棚からローリン・ヒルのコンサートを再生する。会場は2018年のスイス バーセル。
当然だが、1999年のグラミー賞、五部門を獲得した時の勢いはない。

気落ちして、コレクション棚からボブ・マーリーのトリビュート盤を取り出し、ピカピカのローリン・ヒルを鑑賞。この頃はボブ・マリーの息子と結婚、出産。
怖いもの知らずの正に旬。

しかし数年後、グループのフージーズやレコード会社と揉め、失意の状態。
そんな時、デイヴ・シャペルから街区をワンブロック貸し切り、一日だけのコンサートに誘われる。ここで歌ったのがキリング・ミー・ソフトリー
私はこの頃が、彼女の旬だと決めている。それほど素晴らしい。

聴衆も彼女の苦節を察知して、久しぶりの生の声を聴き熱狂。

チャンネルをエビアン選手権に切りかえる。
渋野のショットがどうにもならないほど悪い。グリーン横から、グリーンに乗らない。

気落ちして、クラブを引きずっているのも気が付かない。

ホールアウトすればニコニコする彼女が、カメラに目も向けない。

渋野は家へ飛んで帰りたい気持ちだろう。
しかし私が思うに、彼女の旬全英女子オープンに優勝した時でなく、今こそが旬だ。
アスリートやアーチスト、広くは自営業者、サラリーマン、主婦さえも、リタイヤした時、過去を振り返ると、一番しんどかった時を思い出すはず。
きっと渋野も、メジャー大会のトップテンの常連になれば、今を思い出すファンも少なくなるだろう。
渋野がクラブ置く時、私は生きていないが、このルーキーイヤー自分の旬だった思い出せれば嬉しいものだ。LPGAツアーで17勝した岡本綾子が、別の番組で解説していた時、アナウンサーが「生まれ変わったら、もう一度プロゴルファーになりますか?」と聴いた。
岡本は「二度とならない」と答えた。渋野は二度とやりたくないほど厳しい職業を選び、その高い壁を乗り越えようとしている。