井上尚弥検証

 大和川右岸の草地を足馴らし。既に薄っすら汗を掻いている。

左岸に移りDDH(土手ダウンヒル)のくり返し。ここで覚えたのはブレーキの圧力。スキルが浅いと、恐怖でブレーキを掛けっぱなし、指も痛くなるが、慣れてくると強弱が分かるようになった。
テニスボールをタッチで打つ要領と似ている。一つ進歩だ。

白井義男ファイティング原田の試合を、テレビで応援してきた私は、今回の井上、ドネア戦をライブで観るのは怖かった。前評判が高いと、その反動に耐えきれるか心が揺らいだから…
しかし再放送は本人の解説もあるし、試合内容をより詳しく知る事が出来満足。
早い回で瞼を切り、ドネアの顔が二重に見え始める。ここで井上は倒すことより、ポイントを稼ぐのに切り替えた。

方針が決まれば、ナイスヒットも生まれてくる。

しかし返り討ちにも合い、瞼のキズはひどくなる

野球で言えば、打たせて捕る方針が裏目に出ることも

しかし井上のボディが決まり、ドネアはたまらずダウン。ここでも焦らず、ポイントを稼ぐのに集中する。

今回の苦戦は、次に必ず生きてくると本人も自覚。
相手が二重に見えても、それも予想した練習が生きてきた。ボクシングはスキルと、ピンチの時の頭脳明晰さが、勝敗の分かれ目だと良く分る。ラスベガスで世界の強豪と戦う姿を、早く観てみたい。目の肥えた米国の観客は、強打とスマートさを併せ持つ井上のファイトに、きっと興奮するだろう。