推定無罪 ?

  不整脈の検査入院は、昼の絶食を言い渡されていたので、昼飯を抜いて午後1時前に、入院受付を済ます。四人部屋は空いていなかったので、個室を希望する。 

ベッドは一つで、時節柄、面会謝絶になっていて親族も入れない。

二脚の応接セット、冷蔵庫、洗面台、クローゼット付きだがトイレ無し。

入室して直ぐに心電図室へ呼ばれ、超音波検査。10分ほど記録を取られる。部屋に戻ると、若い男性看護士が、小袋に入った携帯用の測定器を持って来て、首から吊るように言われる。寝る時も付けたままだ。
その後二時間ほど部屋で待機。
四時前にストレッチャーで横になって移動。「経食道心臓エコー」検査。
食道にカメラを挿入、そこから心臓を観察すると、血栓の状態が良く分かるらしい。
三名の若いスタッフから、喉に麻酔を掛けられ、カメラのチューブを入れられるが、違和感はあまり感じなかった。ウトウトしていると、
「済みました」の声で目覚める。「無かったですよ」すぐに意味が分からなかったが、血栓は見つからなかったようだ。もし血栓が見つかれば、検査はここで終わる。
何故なら、次の検査の電気ショックの心臓刺激で、血栓の破片が脳へ廻ると、血管が詰まり、脳梗塞になるらしい。
「これからが本番です」の声を聞きながら、自室へ移動する。
個室なので、部屋に電気除細動器を持ち込み、若いドクターと、テニスコーチほど若いスタッフが5,6名、部屋に揃った。
私の顔に酸素マスクが被され、電気が効率良く刺激できるように、大きな湿布が三枚ほど胸に貼られた。
そのころ全身麻酔が効き始めたのか、眠りに落ちた。
三回電気ショックを掛けるとは聞いていたが、数は分からない。
器具が外され、床に立たされる。少しふら付いたが歩けた。
こうして今回の検査入院は終わった。
夕方7時過ぎにドクターがやってきて、不整脈は消えていると教えてくれる。
私は無罪放免かと思い、やったー! と叫びたかったが、ドクターは一週間後経過観察をして、不整脈が出たら次の治療へ進みますと言って、部屋を出て行った。
次はアブレーション治療へ進むのだろうか?
今朝部屋を出る時、若い看護師に、ドクターの言葉を伝えると、
「心臓も早期発見、早期治療が大事です。若く見えても八十なのだから、年に一度は検査が必要です」との返事。こっちの心を見透かされている。
今回は、無罪放免とはいかず、推定無罪になってしまった。
アメリカでは、推定無罪のとき、起訴した捜査機関へ棄却を裁判官が言い渡すらしい。
どないしょう…
なおこのレポートは、私が麻酔を掛けられ、断片的に見たり聞いたりしたことなので、真実ではありません。