バラバラ家族の泣き笑い

 今にも降りそうな空模様。アンバーのサングラスに代え、スコッティ嬢(SPARK 740 - 27.5" PLUS)に跨った。

途中で霧雨が舞うが、かまわず堺浜へ。

釣りのオッチャン二人が、波消しブロックの外へ消えていった。今は何が釣れるのだろう、鯵かボラか? イオンの魚が高すぎるので、安く済まそうとしているのかもしれない。
帰宅して風呂に入っていると、晴れてきた。近頃の練習は、走るだけになってきている。本格的なメニューを考えなくてはならない。


 夕食後、録画棚を最新の録画から上へ遡る。私は録画しても二度目を見ない映画は消していく。当然好みの映画が残っていくのだが、そのトップに二年間君臨するのが…


「リトル・ミス・サンシャイン」
<アマゾンストーリー>
田舎町アリゾナに住む少女オリーヴ。なんともブサイクでおデブちゃんな彼女が、全米美少女コンテストでひょんなことから地区代表に選ばれた。オリーヴ一家は黄色のオンボロ車に乗り、決戦の地カリフォルニアを目指すことに。人生の勝ち組になることだけに没頭する父親、ニーチェに倣って信念で沈黙を貫く兄、ゲイで自殺未遂の叔父、ヘロイン吸引が原因で老人ホームを追い出された不良ジジイ、そしてバラバラ家族をまとめようと奮闘する母親。そんな落ちこぼれ家族の、奇妙でハートフルな旅が始まった……!


私は昨夜、何度目かの鑑賞でも、大笑いして、しんみり、涙こぼれ、ニヤニヤして、頷き、最後に拍手した。
母親を演じるトニ・コレット。オーストラリア出身らしく、田舎の薫りが何とも言えない。

オリーブを演じたアビゲイル・ブレスリン。アカデミー賞助演女優賞 (ノミネート)

仕事が上手くいかなかったお父さんを慰めるお爺さん、アラン・アーキン。アカデミー賞助演男優賞

ファミレスで、1人4ドル以下の料理を注文するフーヴァー家

孫を労わるお爺さん

けなげな娘、オリーブ


その感情を同じように、レビューで表現された目隠シストさんの文章です。


「設定はマイナス要素に溢れています。ダメダメな家族で全然イケてない。でも世界を包む空気は寒々しくありません。まずそれがいい。軽やかでほんのり暖かい音楽と共に物語は綴られていきます。構図も“はっ”とするほど美しい。そして何より人の描き方が素晴らしかった。端役に至るまで“こんな人いる”と思えました。画面の中の世界は、自分が生きている世界と同じ。だから大きなフリ幅で、心を揺さ振られたのだと思います。時に自身を顧みて嫌悪し、自嘲しました。同情し共感しました。各人に感情移入し、気付くとこ自分も家族の一員になっていました。大いに笑い、くしゃくしゃになって泣きました。クライマックスは娘のステージ。ストリップまがいの珍妙なダンス。それをみて大笑い。「ああ、じいさんとの奇妙なレッスンはこういうことだったのか!」と。でも同時に胸が痛くて苦しくて。お父さんの口癖を借りるなら、この家族は“負け犬”だらけです。彼らのダンスはみっともない。でも美しかった。心に響きました。“娘を守りたい。”その気持ちが強く伝わってきました。もっとも、彼らの行為が許されるとは思いません。コンテストを無茶苦茶にした罪はある。例えそれがクソみたいなコンテストでも。しかし理屈ではなく共感してしまう。「お前たちに、うちの娘を値踏みされてたまるか!」「このダンスの何が悪い!」逆ギレもいいところです。でもそこには愛がありました。巷に溢れるまがい物ではない本物が。客観的判断も価値基準も必要としない。見返りも無い。ただ全てを肯定する。「お前を愛している」「お前を誇りに思っている」そう言わなければならない時があります。しかもオリーブはまだ子供。家族が守らなくてどうする。家族が与えなくてどうする。一番大切なものに、この家族は気付いたのだと思います。愛されることは、自信に繋がります。戦う勇気と力に変わる。オリーブは、そういう生き方が出来る人間になってくれると信じます。じいさんは言っていました。負け犬は、負けることを怖れてチャレンジしなかった者のことだと。自己啓発プログラムでいう“勝利”と違う“勝ち”がある。負けがない、勝ちがある。この家族が敗者だなんて、自分には思えない」


素晴らしい評価です。