七転抜刀

 風が強かったので、ネックウォーマーを首に巻き、家人がプロサッカーのユニで作ったマスクをして歩き出す。

一見穏やかに見えるが、これから雲で埋まっていき、週末まで大寒波の予報。

河川敷の茅は風になびき、下を向いて前進することも…

風雲急を告げるような、雲の動き。

アビコ大橋の上は、右からの強い西風で、思わず左手が手すりを押さえる。

寒くなるのが判っていたので、おでんを仕込んでいた。味見をしていたら、そのまま夕餉になり、芋焼酎でほろ酔いになる。
夕食が早く終わったので、再生するのを待っていた、3時間45分の長尺「七人の侍
鑑賞する。最後に観たのは古希の前だったから、10年以上前になる。
ストーリーは御存じ、野武士軍団に狙われた村人の代表が、助っ人を見つけに旅に出て、七人と話を着ける。
村に戻った七人の侍は、村人を鍛え、野武士軍団と戦い、村を助ける。
それだけの話だが、良く練られた脚本、黒澤明監督が選んだ、素晴らしいキャスティング、そして出演者の迫真の演技等々、後世に残る傑作なのは間違いない。
しかし長すぎる。ハリウッドでは教科書になるような映画なので、徹底的に研究され、いろんな作品に利用されている。後出しじゃんけんで創られる作品は、当然興行的にも成功することを求められているので、尺は短く、アクションは派手に、ヒール役にも力を入れている。
この作品の面白さは、七人のスカウトと、最後の村での決戦に尽きると思う。
志村喬の演技はデンゼル・ワシントンやユル・ブリンナーの比じゃないし、監督はジョン・スタージェスと比べるのもおこがましい。
世界のミフネは、比べる名優が数多く居るので、その中に入るのだが…
そういう意味で野武士軍団の頭目を三船にやらせ、菊千代の役を三国連太郎あたりを配したらと思うのである。